台湾・頼清徳総統が語る「力による平和」とは？中国の脅威に立ち向かう台湾の決意

2025年2月21日

台湾の頼清徳総統が「力による平和」というスローガンを打ち出し、注目を集めています。これは単なるスローガンではなく、台湾が直面する現実的な脅威、特に中国からの圧力に対抗するための、綿密に練られた戦略なのです。本記事では、頼総統がこの言葉に込めた真意を、以下の3つの視点から徹底的に解説します。

1. 【なぜ】頼清徳総統は「力による平和」を強調するのか？

頼清徳総統が「力による平和」を強調する背景には、台湾を取り巻く国際情勢、特に中国との関係が深く関わっています。中国は台湾を自国の一部と見なし、必要であれば武力行使も辞さないという姿勢を崩していません。

このような状況下で、台湾が平和を維持するためには、抑止力としての軍事力の強化が不可欠であるという認識が、頼総統の言葉の根底にあります。

頼総統は、台湾の安全保障を強化することで、中国に対する抑止力を高め、結果として平和を維持できると考えています。これは、単なる軍拡競争ではありません。台湾が自らの主権と民主主義を守り抜く決意を示すことで、中国側の軍事的な選択肢を狭めるという戦略的な意味合いを持っています。

さらに、「力による平和」は国際社会へのメッセージとしても重要です。台湾が自らの防衛努力を強化することで、アメリカをはじめとする民主主義国家からの支援を引き出しやすくなると期待されます。台湾が自らを防衛する意思と能力を示すことは、国際社会における台湾の地位を高め、中国に対する抑止力を強化する上で不可欠です。

また、頼総統がこのスローガンを強調する背景には、国内の支持基盤を固めるという スローガン的な意図も考えられます。台湾の世論は、中国の圧力に対して毅然とした態度を求める声が高まっており、頼総統が「力による平和」を訴えることは、こうした国民の期待に応えるとともに、自身のリーダーシップを強化することにつながります。

産経新聞の記事によれば、「台湾は、自らの力で平和を守り、地域の安定に貢献していく決意を示している」とのことです。

2. 【過去との比較】台湾の安全保障戦略の変化

「力による平和」というスローガンは、台湾の安全保障戦略において、過去からの変化を示すものです。かつては、経済的な相互依存関係を深めることで中国との関係を安定させ、平和を維持するという考え方が主流でした。

しかし、近年、中国の軍事的な脅威が増大し、香港における「一国二制度」の崩壊などを目の当たりにする中で、従来の戦略では台湾の安全を守りきれないという危機感が強まっています。

李登輝総統、陳水扁総統の時代： 中国との対話や経済交流を通じて関係改善を目指す政策が重視
馬英九総統の時代： 経済的な結びつきをさらに強化することで、平和的な関係を築こうとしました。
蔡英文総統の時代： 中国に対する警戒感が高まり、防衛力の強化やアメリカとの連携を重視する政策へと転換

蔡英文総統は、「自衛のためのスローガン」を増やし、ミサイル防衛システムの導入や国産兵器の開発を推進しました。頼清徳総統は、蔡英文総統の路線を継承しつつ、「力による平和」というより明確なスローガンを打ち出すことで、台湾の安全保障に対する決意を内外に示すとともに、国際社会からの支持を引き出そうとしています。