「まさか自分が…」 そう思っている男性も少なくないはずです。近年、男性が配偶者やパートナーから受けるDV(ドメスティック・バイオレンス)の相談件数が急増しています。警察庁の発表によると、2023年にはDV相談件数が8万8619件と、DV防止法施行以来最多を記録。 (朝日新聞)
特に注目すべきは、男性からの相談件数が過去最多を更新している点です。この記事では、なぜ男性のDV被害相談が増加しているのか、その背景と現状、そして当事者の切実な声に迫ります。
なぜ?男性のDV被害相談が増加している3つの理由
「DVは女性が被害者」というイメージは、もはや過去のものかもしれません。男性のDV被害相談が増加している背景には、以下の要因が考えられます。
- 社会的な認識の変化: DVに対する社会全体の認識が深まり、「DVは女性が被害者」という固定観念が薄れてきました。これにより、男性も「自分はDV被害者かもしれない」と気づきやすくなっています。
- 相談窓口の拡充: 以前は女性向けが中心だったDV相談窓口が、近年では男性も相談しやすい窓口が増えています。電話相談だけでなく、メールやチャットなど多様な相談手段が提供されるようになったことも、男性が相談しやすくなった一因です。
- 被害を訴えやすい環境づくり: SNSやブログなどで自らの体験を発信する男性が増え、共感や支援の声が広がることで、被害者は勇気づけられ、声を上げやすくなります。男性DV被害者の支援団体が積極的に情報発信や啓発活動を行うことで、社会的な理解が進み、被害者が孤立感を抱えずに済むようになっています。
これらの要因が相互に作用し、男性のDV被害相談件数が増加していると考えられます。しかし、相談件数の増加は、必ずしもDV被害そのものが増えているとは限りません。むしろ、これまで潜在化していた被害が表面化してきたと捉えるべきでしょう。
過去との比較:DV相談件数から見る変化
警察庁の発表によると、DV相談件数は年々増加傾向にあり、2023年には8万8619件と、DV防止法施行以来最多を記録しました。 (朝日新聞)
特筆すべきは、男性からのDV相談件数の増加です。2023年には、男性からの相談が全体の29.5%を占め、過去最多となりました。15年前の1.8%と比較すると、その増加率は著しいと言えます。 (朝日新聞)
内閣府の調査によると、配偶者から暴力被害を受けた人のうち、「警察に通報・相談」した人はわずか2.2%に過ぎません。 (nippon.com) このことから、DV被害は依然として氷山の一角であり、潜在的な被害者は多数存在すると考えられます。
当事者の言い分:男性DV被害者の声
DV被害に遭っている男性たちは、一体どのような状況に置かれているのでしょうか。彼らの声に耳を傾けることは、問題の本質を理解し、適切な支援策を講じる上で非常に重要です。
ある男性は、
「妻から日常的に人格を否定する言葉を浴びせられ、精神的に追い詰められている。しかし、男性である自分がDV被害を訴えるのは恥ずかしいと思い、誰にも相談できずに苦しんでいた」
と語ります。また、別の男性は、
「妻からの暴力がエスカレートし、身体的な傷も負うようになった。警察に相談したが、『男のくせに情けない』と相手にされず、絶望した」
と打ち明けます。 (徳島新聞)
これらの声からわかるように、男性DV被害者は、身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力にも苦しんでいます。また、社会的な偏見や誤解から、誰にも相談できずに孤立してしまうケースも少なくありません。
今後の課題:男性DV被害者への支援体制強化が急務
男性DV被害者は、「誰かに話を聞いてほしい」「安全な場所に避難したい」「法的支援を受けたい」といった切実なニーズを抱えています。しかし、現状では、男性DV被害者を専門的に支援するシェルターや相談窓口は限られており、十分な支援体制が整っているとは言えません。
