物語の展開と不自然さ
『ラストマイル』のストーリー展開には、いくつかの不自然さが感じられる部分が多くありました。特に、爆発事件の調査を舟渡エレナと梨本孔の2人だけで行うという設定には、現実味が欠けていました。現実の世界であれば、重大な事件に対しては当然警察や政府機関が関与するはずであり、民間企業の社員だけが事件解決に挑むという展開は、物語としてはやや無理があるように感じられました。これにより、観客としては物語の設定に対して不信感が生まれ、物語に没入することが難しくなった場面がありました。
さらに、映画の後半に進むにつれて、ストーリーがやや複雑になりすぎている印象を受けました。犯人が誰かという点で意外性を狙っているのは理解できますが、その手法が観客を驚かせるものにはなっておらず、むしろ途中から予測ができてしまう展開に感じられました。たとえば、劇中で満島ひかりが犯人であるかのように匂わせるシーンがありますが、その後に明らかになる真犯人の動機や計画には少し強引さが感じられました。物語全体のロジックが飛躍しているため、観客としては納得感が得られず、ストーリーが進むにつれて疑問点が増えていくように感じられました。
また、爆発の場面やそれに至るまでのプロセスについても、リアリティが欠けていたように思います。映画内で犯人がどのようにして爆弾を物流システムに紛れ込ませたかが説明されるシーンは、確かにユニークで興味深いものでしたが、その方法が実際に実行可能なのか、またそのリスクがどれほどのものであるかについての描写が不足していました。これにより、観客としては「そんなことが本当に可能なのか?」という疑問が残り、物語のリアリティが損なわれてしまったのではないかと感じます。
シェアードユニバースとしての不自然さ
映画『ラストマイル』は、**「アンナチュラル」や
「MIU404」とのシェアードユニバース**という形で製作されており、これが多くのファンにとって注目されるポイントの一つとなりました。しかし、このシェアードユニバースという設定が、映画単体としての物語に対して逆効果になっている場面も少なくありませんでした。
まず、これらのドラマシリーズを観ていない観客にとっては、登場キャラクターの存在が物語に対して何の意味を持っているのかが理解しにくいという問題があります。『アンナチュラル』や『MIU404』を観ているファンにとっては懐かしさやファンサービスとして楽しめる要素かもしれませんが、映画自体の物語がそのキャラクターたちによって進行するわけではないため、物語全体の一貫性が損なわれてしまっています。このような「世界観の共有」が映画のテーマやメッセージとどのように関連しているのかが不明確であり、結果としてシェアードユニバースは物語に不要な要素として感じられてしまいました。